中国で最初の速記が発表されたのは、1896年蔡錫勇による「傳音快字」であっ た。これはピットマン式系の正円幾何派で、左起右進縦書きとされ、目的は掃除 文盲であった。

　清国政府が国会の資政院を開設する際、逐語発言記録を作成する方法として速 記を調査したが、蔡錫勇の長男、蔡璋が政府の付託に応え「中国速記学」をあら わした。

　それ以来、中国ではさまざまな方式が花咲いたが、方式理論としては正円幾何 派を出発点に、半草書派のグレッグ式からの亜偉式（唐亜偉）、社会主義国家成 立後ソビエトからの文化導入時にサカロフ式の伝来とそれを参考にした斜体速記 法（顔廷超）へと整然とした時系列で速記理論が発達してきた。また、韓国と前 後して機械速記の開発に乗り出し、亜偉速録机が実用化に至っている。